14. 突然の別れ

前回(3/24)から随分日にちが経っていることもあり、また今回の内容が最悪の結果なので、アップするのを一月近くも躊躇していた。

このブログを読んで頂いている方々の中には現在、癌闘病中の方や治療後経過観察の方、またそのご家族の方々もおられると思っているので、結果が悪かったことを知らせるとそうした方々に何らかのマイナスの影響を与えてしまうのではないかと、デリカシーの面から何度も逡巡ししていた上に、私自身、ブログを書くにはなかなか精神的に立ち直れずにいたからだ。

実は、私にとって青天の霹靂ともいうべき突然の事態だったのだが、RURU(私の家人の愛称です)は先月13日早朝、以前書いた不定愁訴でいろいろと相談していた近所の病院で他界した。

4日間程、不調を訴え入院して胸水を抜いてもらうなどの処置をしてもらったが、最後は、静かに息を引き取ったようだ。(私は立ち会うことができなかった。)

表現が伝聞型で、???と思われた方もおられると思うが、
食事障害や術後の不定愁訴が少しも改善しないことに苛立ちを募らせていくばかりの彼女は、昨年11月頃から、私のところからそう遠くはない彼女自身の家で暮らすようになっていて、今年になってからは電話で話す以外では私には会わなくなっていたのだ。

私は小説家でもないのでつまびらかに書くことに多少のためらいを感じるが、やはり私たちのプライベートについて少し触れておかなければならないと思う。

このブログの中で私は彼女のことを家人と称し家内、妻とは呼んでこなかった。
もちろん、世間では家人とは妻のことを意味するのだが、8年間一緒にいたとはいえ入籍した正式な夫婦ではなかったし、ましてや彼女には長年別居してきた夫がいたので、内縁にせよ妻とよぶことにどこかはばかりを感じていたからだ。

9年程前に期せずして知り合った頃、彼女は社会人の息子がいることを打ち明けただけだったし、結婚に失敗したことのある私はその後一緒に住み始めてからも特に彼女と正式な夫婦関係になることも望まず、しかし、それなりに私たちは二人いつも一緒で時には近くに住む私の母や姉とも楽しく過ごし、たくさんの思い出をつくってきた。

ただ、一昨年9月に食道癌が判明してから、生きた心地がしない日々ばかりを経て、治療後の不定愁訴が続く中、彼女自身言っていたことだが、彼女の身体や心は以前とは大きく変わっていったのだといえるかもしれない。
昨年9月頃までは、あれほど死を恐れ何度も泣いていた彼女は、今思うと、そのころから生に対する執着心を失い始め最後の準備に入ることを決意し始めたのだと思う。
結局、11月に、「息子と一緒に居たい」と希望した彼女は自身の家に戻り、静かに療養していたのだった。

結果的に、昨年暮れや今年3月の検査では肺(リンパ)転移が認められたものの、彼女の言う通り異常なしと、私自身は信じていたし急変する直前まで電話で話していたので亡くなってから彼女の息子の話を聞き大変驚いたのだった。

彼女が最後の時を迎えたクリニックは、転移や再発があった場合に備え、様々なケースに対応してくれる病院として考えてあったのにと思うとかえすがえすも残念でならない。
ただ、私がいろいろな治療を勧めたとしても、転移・再発した場合はすでに無治療を決めこんでいた彼女は拒否しただろうが….。

最後は、自らの死をもって何かに償いをしたかのようにも思える彼女の通夜・葬儀には、私は立場上参列できず見送ることができなかった。
(先日、報道されていた歌手の都はるみさんの逆の形ですね。)
一昨年がんセンターでのケモラジがうまくいくと信じていた頃、彼女は、
「一息ついたら、籍のこともちゃんとするから」と言ってくれたが
彼女の癌は、そんなチャンスすら与えてくれはしなかったのだ。
彼女同様に、最初から治療方針や病院の選択など全て任せてくれていた彼女の息子の心遣いで霊安室で二人だけのお別れをさせてはもらえたが…..。


今となっては、癌の為に人生を急に終えることを余儀なくされた彼女の無念さを思うと、ただただ可哀想でたまらない。
同時に、彼女は私を大事にまた幸せにしてくれていたのに、もっと大切にしてあげればよかったと後悔の念も深くある。
私はこの半年彼女と一緒に居ない為不在感は感じていたが、しかし、今は決定的な喪失感が繰り返し襲ってきて、どうしようもなく寂しく辛い日々が続いている。

まだ、しばらくは一人で彼女を思い出し続けていたいと思っている。

PS:

今日は、彼女の四七日(よなのか)にあたる日でもあり、がんばって書いてみましたが、もう、一杯一杯です。
また、書き綴っても良ければもう少し落ち着いてからにします。
応援してくれていた方々も驚かれたと思います。
私の場合、立場から言えば彼女を救えて何ぼの感じでしたから、情けなさで一杯です。

8 Comments

  1. SECRET: 0
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    本当につらいお知らせです・・・・こんなときは、どんな言葉をおかけしても役には立たないでしょう。しばらくの間は身を引き裂かれるような感覚が続くと思います。その人を想っている分だけつらさも大きいと思います。
    連れあいではありませんが、私も身内の数年の闘病とつらい亡くなり方で、それまで50年近く共有してきた思いが、まるで最後のオセロのコマのせいで盤が真っ黒になってしまったような感覚を覚え、数ヶ月の間、泣いたり自分を責めたりしました。人が慰めてくださっても、こればかりは自分の問題ですものね。でもね、必ずオセロのコマはゆっくりと白くひっくり返されます。
    雄三さんがパートナーと共有したたくさんのことは、彼女にとっても宝物なのですよ。あなたを幸せにしてくれたのなら、幸せにした彼女も幸せだったはずですよ。
    言わずもがなの勝手なことを書きましたが、雄三さんを心配している人はたくさんいるんです。どうぞ時間をかけてゆっくりと顔を上げてください。

  2. SECRET: 1
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    ずっと更新がないので心配していたのですが……
    驚いています……よく書いてくださいましたね……
    再発転移の時は治療はしない……我が夫もそう言っています。
    私も彼の人生だし、終末医療には何かと思う所が多く……
    心からご冥福をお祈り申し上げます。

  3. SECRET: 0
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    パートナー様のご逝去の報に接し、衷心より哀悼の意を表します。
    残念でなりません。同じ食道がん患者様の訃報に接する度に、悔しくて残念で・・・
    「食道ガン」は同じでも、老若男女・部位の違いなど症状も色々・・・
    全がん患者の中でも、数パーセントの食道ガン患者・・・
    藁をもすがる思いで、情報収集している僕たち食道がん患者ですが・・・
    雄三さんは、その中でも先駆けのような存在で、我々に多くの情報や
    体験者の情報を与えて下さっております。
    パートナー様は、結果、残念ですが、まだまだ後に続く食道ガン患者に
    希望の光が当たりますように・・・ 今後ともよろしくお願い致します。

  4. SECRET: 0
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    皆様、投稿いただきありがとうございます。
    一昨年の秋、室川さんのサイトを見つけ何度も食い入るようにして読ませていただいたのが、まだ昨日のことのように思い出されます。
    いろいろ調べながら長生きできる可能性のあると信じる方向に彼女を導いたつもりでしたが、最後はブログに記しましたように、転移後、彼女が無治療を選択しました。
    たぶん、病気とは別の次元で思うところが、あったのでしょう。
    私にとっては「タラ、レバ」の世界なのですが…..。
    室川さんが、息子さんのことでご自分の病気以上に苦しく悲しい思いをされてきているのに、私などお恥ずかしい限りの人間だと思います。
    鉄人と言われるだけkuwachannたちにとって希望の星ですからね。
    酒もあまりほどほどに無理をされないように。
    でも、機会があれば一杯ご一緒したいですね。
    本当に、皆さんありがとうございます。

  5. SECRET: 1
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    雄三さま:
    覚悟していたとは言え、つらいニュースで何をどう書いたらよいか迷っておりました。私のブログにmamaさんが書き込みをしてくださり、それにレスをつけました。そこにも書きましたけれど、大手を振って喪主になり、あれこれと忙しくお葬式をアレンジし。。。という「送り出す儀式」に参画できない、喪失を他の人に発信し共有できない、禊のようなことができない辛さ、その悲しさは想像を絶します。
    癌にかかって回復し「生かされている」と思っている私ですが、ルルさんと同様に母親であり、成人した息子がいます。このような言い方をしたら語弊があるかもしれませんが、癌に因る死はある意味で納得のいく死です。死を受け入れた時点で残りの日々をどう過ごすかを選ぶことができます。ルルさんがお宅に帰り、息子さんと残りの日々を過ごしたのは、「死ぬ日」を起点に一生を見直した彼女が選んだ道だと思います。そういう意味ではいい死に方だと言う気がします。
    雄三さんがつらいのは彼女が最後に婚宅に帰ってしまったこと。一緒に戦ってくれなかったこと。 治療を放棄してしまった彼女の肉体の辛さを分かりきっていなかったのかもしれない。「>救えてなんぼ」なのに救えなかったことなど無念なことが沢山からまっているのではないかと察しています。
    女性にとって40を過ぎてから熱い恋、愛を経験できた彼女はなんて幸せだったんでしょう。彼女のことを知らない私ですが、雄三さんとの愛に彼女が感じたスリリングな気持ちは想像できます。大人の恋のできるきっととっても魅力的な女性だったのでしょうね。
    雄三さんのエントリーを読み、ルルさんは肉体的にとってもきつかったのだろうと思います。体重のなさ、術後の痛み、食べることのできない辛さ。私など「同じ癌でした」と言うのが憚られるほどです。本当によく頑張りましたね。彼女が頑張れたのは雄三さんが一緒に闘ってくれたからですが、多分去年の暮れの時点でもうぎりぎりだったのでしょう。
    >自らの死をもって何かに償いをしたかのようにも思える彼女の通夜・葬儀
    という下りがありました。これは雄三さんの懐疑なのでしょう。
    ルルさんは女性としてきっと雄三さんに感謝しているに違いありません。最後の10年間は感情的にも肉体的にも幸せ(悩みはあったかもしれませんが)だった筈ですもの。
    ところで、できればこのブログサイトをずっと続けていただけたらと思います。所謂世間では喪失を他と共有することが許されない雄三さんもここでは悲しみを語ることができます。これからも時々は雄三さんの声をお聞きしたいです。そして何よりも、このサイトが食道癌患者にとって素晴らしいハブになっているのです。
    私の座右の銘「希望の処方箋」(癌サバイバー向けなのですが、皆に効く処方箋だと思います)に:
    1.小さなイベントを次々に計画する(60になるまでは生きる。5年は生きるなんて大目標を考えない。)
    2.家族には「今日が最後だ」と思って接する。大事な愛の言葉、伝えたいことは必ず伝える。
    3.何か新しいことを始める
    4.勇気をもって新しい治療法を試す
    5.人のためになることをする
    があります。今の雄三さんにもこの処方箋、効くのではないでしょうか。もしよかったら5番目の「ひとのため」ということでサイトを続けてください。勝手なお願いです。
    Kuwachann

  6. SECRET: 0
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    RURUさんと同じ、食道癌、ステージIIIの患者です。
    雄三さんのページにとても助けられた一人です。ありがとうございました。
    放射線治療、抗がん剤の治療、食道炎による発熱、カテーテル熱、食道狭窄。。。。。。
    想定外の事が、次から次へとおこり、光が見えなくなって、結局一番身近で、一番優しく、
    一番好きな旦那に、辛さをぶつけてしまっています。
    家族だって辛いのに、病人が辛さをぶつけるのはいつも近くにいてくれる家族なんですよネ。
    酷な話です。
    でも、家族の皆さん、ご理解ください。患者にとって家族は、何物にも代えがたいほど大事な、
    大事な宝物である事を。充分感謝の気持ちを伝えきれていなくても、みんな、みんな、みなさんに
    感謝している事を、ご理解ください。
    「RURUさんが、雄三さんを大事に、幸せにしてくれた」と雄三さんが感じているなら、
    RURUさんも間違いなく、雄三さんに大事に、幸せにしてもらったと感じてきたと私は思います。
    ご冥福をお祈りいたします。

  7. SECRET: 0
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    mamaさん、
    室川さん、
    NonChanさん、それから
    コンフィデンシャルで書込みいただいた方々に
    あらためてお礼申し上げます。
    まだ、皆さんが闘病中あるいは経過観察中であるにもかかわらず心安らぐ励ましのお言葉に感無量です。
    Kuwachann、
    「希望の処方箋」ありがとうございます。肝に銘じておきます。
    また、あらためて、ブログアップいたします。

  8. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    拝見させていただきました。
    またお邪魔します。
    癌についての情報を集めていますので、よろしければいらしてください。

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