「何か変、飲み込むと喉から胸の辺りで痞(ツッカ)え感がする・・・」
一昨年(2006)の8月頃、食事時に彼女が言った。
「急にそう感じたの?」
問う私に、「最近ずっとそう」
「すぐ、どっかで内視鏡やってもらった方がいいよ」
私の勧めで、ある病院を訪れたのが癌との長く続くかもしれない闘病の始まりだった。
結局、最初の病院では内視鏡検査の際、麻酔や鎮静剤を使わないことを嫌がった彼女の希望で別の病院で検査できたのが9月に入ってからで、見つかったポリープの細胞生検で悪性の食道癌と診断されたのが9月も中旬を過ぎていた。
その間の2週間で、私は毎日ネットで手当たり次第に自らが無知な食道癌のことを調べまくっていた。
私の身内にも胃癌の経験者は複数いるので手術で直るんじゃない?
と軽く考えていたのもそのころだった。
が、どうやら食道癌は癌の中でもすい臓がんとともに難治性の高い病気であることや、この癌に対する治療法として最近は「放射線化学療法」の成績が「手術」に匹敵するなどというような情報が泥縄式にかつ無作為にではあるが、徐々に集まってきていた。
また、ネットの功罪ともいうべきか、私は情報収集の間、様々な癌に対する効果を謳った健康食品のことも知るに至り、御多分にもれず藁をもすがる思いで買い漁り、彼女に飲ませていた。
(ご参考までにその時、購入した健康食品はノニジュース、マイタケMD-フラクションエキス、イムノゴールドSS、フコイダンドリンク アポイダン-U 200などです。)
食道癌の診断を伝えた医師に、紹介先として「国立がんセンター東病院」をお願いし、約3週間の長く感じられる通院検査のあと内科のO医師にステージⅢの進行がんと改めて診断を受け10月下旬に入院した。
この病院を選んだのはネットで調べるうちに知った食道癌のある有名サイト、「がん病棟からの脱出」の影響だった。
ご自身が食道癌患者として首都圏で有名な病院を4ヶ所も渡り歩き、手術を拒否し「国立がんセンター東病院」で「放射線化学療法」を受けられ、生還6年以上を果たされたサイト主幹のオミノさんの実体験に基づく患者サイドに立った論点は十分に的を得ているようで、多くの食道癌患者や家族に厚い信頼を寄せられ様々な相談を受ける程、説得力に満ちた内容のそのサイトに行き着いた私が彼女の病院と治療法の選択で迷うものは何も無かった。
(ただ、このサイトの最終更新が2006年3月から変わっていないのがずっと気になっていたのだが、最近ネット検索するとあるブログに2006年春、オミノさんが亡くなったとあり大変驚いた。
あくまで未確認情報だが、真実ならば、6年生存の後の放射線や抗癌剤の晩期毒性によるものか、はたまた、他の病気や事故なのか。
サイトを拝見する限りでは感謝されている方々も多いだろうし、2年近くサイトが放置されていて皆さん心配されているのではと、案じている。)
-次回に続く-
注:このブログで述べられる筆者の意見や提案は、あくまで私たちが患者として体験してきた事やネットや書籍で知り得た事をもとにしているに過ぎないものであることをお断りしておきます。