食道癌の手術が、
「右開胸開腹食道全摘胸骨後胃管再建3領域郭清術」
という名の大手術であるらしいことは前にも書いたようにネットで調べた限りでもわかっていた。
だからこそ手術を回避し放射線化学療法を選択したわけだが、これが期待した効果なく残された治療方法は救済(サルベージ)手術しかないということで、年明け早々のO先生外来受診までに、彼女も私も気持ちの整理をし決意する必要があった。
話を進める前に、どうしてもある3人の方々のことを述べずにはいられない。
実は、決意を固めるにあたってお二人の医師とお一人の食道癌放射線化学療法ご経験者にメールでご相談したのだが、お三方とも面識は私は全く無くネットで知り得た方々に過ぎなかった。
あと数日で新年という年末の慌ただしい最中にもかかわらず、私からの取り乱したかのごとく不躾な相談を受けた皆さんは親切にもすぐに返信をしてくれた。見ず知らずの相手にしかも一銭の報酬も無いのにである。
このことを思い出すと今でも私は感謝で胸が熱くなるが、特に実名でご紹介したいと思う。
高橋 豊先生 金沢大学助教授(当時)
梅澤 充先生 うめざわクリニック
山本幹二氏 会社経営者
高橋先生は「がん休眠療法」で有名な医師であり、梅澤先生も同様に低用量での抗癌剤治療を実施されている医師で本ブログのリンク欄に先生のブログ「現在のガン治療の功罪~抗ガン剤治療と免疫治療」を掲載させて頂いており、また後日、セカンドオピニオンもお願いしたことのある先生だ。
お二人とも外科医だが、現在の癌の標準治療に疑問をお持ちになって独自の手法をとっておられ、以前から私が代替療法として「免疫療法」などについてネットで模索していた中で知り得た先生方だ。
山本幹二氏は、東京都立駒込病院での食道癌の治療を受けた後、5年経過しお元気なご様子を「食道癌放射線治療体験記」というブログで書いていらっしゃる方である。
この時、先生方にお出ししたメールの内容はおおむね次のようなものだった。
「~は、国立がんセンター東病院で放射線化学療法(6週間治療法)を受けましたが検査の結果、癌はかなり縮小したものの残存が確認されました。昨日、超音波内視鏡検査を受けましたが病巣はかなり深く達しているためPDT(レーザー治療)も効果は無く危険もあるとのことで、食道摘出手術しか治療方法はないとの診断をされました。
失礼を顧みずメールを差し上げたのは以下の内容に対し先生のご意見・アドバイスを頂けないかとの思いのことですので宜しくお願い申し上げます。
残存した癌の治療として手術を医師は勧めますが成功率が低くQOLも下がるので、まだ本人も私も決心がつかず追加の放射線、抗癌剤あるいは免疫療法などの方法で可能性はないかとの希望を強く持っております。例えば都立駒込病院では放射線、抗癌剤とも投与量ががんセンターと比べかなり多いことがわかりました。がんセンターでは放射線は50.4G、抗癌剤は5-FU+シスプラチンを1週目と5週目あわせて8日間行いましたので、追加投与を行えばさらに効果があるのではと考えますし、抗癌剤も種類を変えて試みることで良い結果につながるのではと期待してしまうのが今の率直な思いです。(ちなみに担当医は多少は効果はあって
も根治はしないとの意見です。)
年明け早々に担当医と再度相談し手術の結論を出す前に、差し支えなければ先生のご意見を頂けたら幸いです。」
手術を、どうしても避けたい一念から他のレジメンも参考にして更に放射線や抗癌剤で何とかならないだろうかという願望を込めた相談だったのだが、
お二人の先生方のご意見は、期せずしてかあるいは専門家のご判断として当然のことなのか、同じようなご返事だった。
つまり、
「完治・根治のための唯一の方法は手術しかなく再発率や、自身の価値観・人生観も考えた上で決めなさい」であった。
私は、「手術が可能なら受けよ」とアドバイスされているのだと理解した。
一方、山本氏からはご自身の主治医である駒込病院の門馬先生へのセカンドオピニオンを勧められたが、手術を受ける方向に気持ちがシフトし始めていたので、実現はしなかったものの同氏にも感謝の念でいっぱいだ。
この場を借りて、皆様にお礼申し上げます。
ところで、彼女に手術の決意をさせる上で後押しをしてくれたブログがある。
本ブログのリンク欄にも載せさせて頂いているが、「四万十川ユースホステルブログ」だ。
筆者のさっちゃんは女性で、食道癌で国立がんセンター東病院において最初から手術を受けられ成功した方で、ブログに手術当時の記録が詳細に記されていて、同じ女性の勇気を貰ったようで、年が明ける頃には彼女の決意は固まっていた。
こうして、2007年1月、三が日が明けるとすぐに受診したO先生の外来で手術の決意を伝えたが、CTで癌が縮小しており生検で陰性が出ているので2週間後に再度内視鏡検査するまで様子見しようということになった。
勇気を出して手術の決意をしてきたので、ちょっと拍子抜けのような気分だったが、放射線の効果は時間が経つほど尻上がりカーブを描くように出てくるといわれているので、更に治療効果が期待されるということなのかなと推測した。
ただ、万一手術になった場合に備えてその日の内に外科の先生に救済手術の説明は受けておいた。
しかし、わずか1週間後、彼女の状態が急に水も食道を通過しなくなった為、急遽食道ブジーで食道を拡張してもらい即入院することになった。
栄養点滴を開始し、多少は水分は通過するようになったが、結局手術を前倒しして10日後に行う予定が組まれたのである。
-次回に続く-
注:このブログで述べられる筆者の意見や提案は、あくまで私たちが患者として体験してきた事やネットや書籍で知り得た事をもとにしているに過ぎないものであることをお断りしておきます。