15. 五七日(いつなのか)

早いもので、昨日は、RURUの五七日(いつなのか)だった。

当然のことながら、私の方には位牌も遺骨もないので心の中でひたすら祈ることしかできない。
先週、彼女の訃報をアップしてから数々のお悔やみと励ましのコメントを頂いた。
皆さん、現役の癌サバイバーやご家族の方々であるが、ご自身のことだけでも大変なのにご心配頂いたり励ましてくださったりして胸が熱くなるのを禁じえなかった。
「何とありがたいことだろう」
「RURUは皆さんとは何もやりとりすることはなかったけれど、皆さん方には間違いなく彼女がこの世に存在したことを認識してもらえており生きていた証となっている」
そう思うことが多少なりとも私にとって慰めとなっている。

また、ケン三郎先生のブログで先生にお悔やみを頂戴した日は、いつもよりアクセスが10倍近くあった。
流石、ブログランキング上位の威力であろうか。
不幸な、かつ私にしてみれば恥ずかしい内容の記事を読んで頂いて恐縮至極なのだが、このブログの存在をそれだけ多くの方々に知って頂いて彼女が食道癌に罹患して以来亡くなるまでのプロセスが少しでも同じ境遇にある方やご家族の方々の参考になってくれればと切に願う。

一昨年から今年にかけてインターネット上にアップしてある食道癌の闘病記のいくつかを訪問することが、日課となっていたが、不幸にして何人かの方々はお亡くなりになりその度に愕然としていた。
しかし、そんな時でもわが家人は何とか癌と折り合いをつけてうまくやっていけるのではと淡い期待を持ち続けていたものだ。

この思いは闘病中常にあったものだ。少なくとも私には・・・。
生存率や治癒率が20%と言われてもその中に彼女は当然入っているのだという根拠の無い思い込み・・・。

その気持ちを今でも引きずっているせいか、彼女の死がまだ信じられないというのが実感なのだ。

今さら言ってもしようがないことなのだが、転移か再発があった場合は、副作用を避けるlow-dose(低用量)での抗癌剤治療の成績が最近いいようなのでそれを処方してもらい少しでも延命させたいと思っていた。しかし、彼女自身が私のもとに居らず転移の事実も知らされなかったので、どうすることもできなかったことが悔やまれてならない。

また、最後を看取り意識のあるうちに別れができなかったことや自分の立場上、骨を拾ってあげることもできなかったことが、その思いに輪をかけて心を虚しくさせているのだろう。

彼女の死後10日間ほど、どうしようもなく苦しくて時々声にならない慟哭が背中から胸を貫くように襲ってきていたことから、ひたすら逃げようと酒ばかり呑んでいた。
二人が過ごした部屋には彼女の影像が今でも私の脳裏に焼きついており、様々な過去の光景を走馬灯のように思い出してしまうのだ。

ほんの二年前は、何事も無く平穏に暮らしていたのが、今は彼女がこの世のどこを捜しても居ないと言う残酷な事実・・・。

先日の秋葉原での残忍な事件や地震で思いもかけない不幸な犠牲になられた方々の事を思うと、癌との闘いの中で自分なりのプロセスを踏んで結果として亡くなるということは、死に方としては最悪なことではないのかもしれないとも思う。
が、いつも当たり前のように傍に居た人が消えてしまう悲しみにくれる残された者にとっての悲痛、悲哀は同じであろう。

十三年前に私の父が亡くなった時の感覚やこれまで親しい親戚、友人が亡くなった時のそれとは明らかに違う初めて味わう息苦しささえ伴う深い悲しみにつきまとわれていて、いつも目にする景色も変わった感じがするのだ。
自分自身も今までとは別人になってしまったように思えてしまうのだ。
長年連れ添った最愛の伴侶を亡くされる方々に言わせれば自分など甘いのかもしれないが・・・。

さて、このブログであるが、彼女が暮れに自分の家に戻ってから彼女の闘病記録を残そうと書き綴ってきたもので、こんなにも早くに彼女がいなくなることを全く想定していなかったせいか、これからどうしたものかと思っていた。
続けることを勧めてくれる人もいるが、身近に患者だった彼女がすでにいないわけで、ましてや医師でもない私がケン三郎先生のようにお仕事上、「毎日が食道癌ブログ」という真似などできようはずもない。


ただ、わずか1年10ヶ月ではあったが食道癌に関しては泥縄式ではあったにせよ猛烈に調べもしたので素人の選択にしては関連リンク先もそれほど外してはいないのではないだろうか。
(ケン三郎先生、監修してくださいな

もし、食道癌に罹患された方やご家族がこの病気に対してあまり知識が無い場合、医師の説明だけでなくネットでも治療法や闘病記など検索されることが多いであろう。この私がそうであったように・・・。

そうすれば、このブログも存続していればそうした方々に読まれる機会もあるわけで、このブログが多少なりともそれなりに時間をかけて情報収集した結果も伴っているとすれば、他の闘病記を書かれている方々と違って私自身が患者本人ではないという面があるにせよ、少しはお役に立てるやもしれないとの希望もあるわけで・・・。

また、この場所は、身近な人にさえ言えない胸のうちを正直に吐露できる場でもあり、鉄人の室川さんやkuwachann、ケン三郎先生たちとも離れがたい気持ちも大いにあるのでしばらく残しておこうと思う。

PS:
というわけで、当分の間は宜しくお願い申し上げます。

コメント

  1. kuwachann より:

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    もし良かったら、暫くはこの広場を閉めないでいただきたいです。RURUさんのことを思って雄三さんが一生懸命に調べ、選んだサイトの数々。亡くなってしまった人のサイトもありますが、小さなコミュニティーになっています。
    情報と言う意味からも、なかなか普通の人(特に治療中の患者)にはここまでリサーチをする力や根気はありません。しばらくは、このままにして続けていただければと思います。
    私は今しばらくは今までと同様に、ここをハブにして使わせて頂きます。

  2. mama より:

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    夫が食道ガンになって初めてブログという世界に飛び込みました。いただいた情報は大いに役に立ち、そのことにはもちろん感謝していますが、それと同時に、ブログを公開していらっしゃる方の生き様や人となりに大きな魅力を感じ、それに拠り所を求めていた自分に気づきます。
    名前も顔も知らない人間同士が、「食道ガン」という共通の土俵の上で、自分の弱さを吐露し、励まし合う・・・相手の痛みも共有し各々の快復にも拍手が送れる・・・・こういう成熟した関係をブログの中で培っているというのは、とても素晴らしいことだと思うのです。
    雄三さんから力をもらった人たちがたくさんいます。雄三さんご自身もここでなら胸の内を吐露できるとおっしゃるように、この貴重なブログの場は残していただきたいな。
    気持ちの快復には「日ぐすり」が必要です。みんなで雄三さんを想っています。

  3. 室川武男 より:

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    全く、皆様のおっしゃるとおりです。
    食道ガン体験者の僕よりも、何倍も何十倍も勉強されている雄三さんですから、
    当分と言わず、後から続く食道がん患者が居る限り・・・ブログは続けて欲しいです。
    「鉄人・室伏」ではありません。ただの弱い室川ですが・・・
    絶対に最後の最後まで・・・「焦らず・諦めず」 生かされてまいります。
    どうぞ、ご自愛いただいて、このままブログを続けてくださいませ。

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