このサイトの癌関連リンクに登録させて頂いている「kuwachannの日記」の最近のエントリ記事に、こちらも癌関連リンクに掲載させて頂いている闘病記ブログ「Tropic of Cancer」さんからご連絡があったことが記されていた。
「Tropic of Cancer」は、私がこのサイトを開いた約3年前、「kuwachannの日記」とほぼ同じ時期にリンクをさせて頂いた食道がん闘病ブログだった。
著者は、闘病の末、2年程前に不幸にして他界されたが、ブログは、その後も弟さんが追悼の気持ちをこめて継続して書いておられるのだ。
弟さんは、kuwachannを「食道がんサバイバー」としてブログで紹介したいとお問合せをされたとのことで彼女も快諾されたようだった。
「Tropic of Cancer」の最新記事によれば、
弟さんにとっては、現在のブログは御兄上への追悼記となっているが、「食道がん」検索で今なお多くのアクセスがあるとのことで(私自身もかつて必死のネット検索でこのブログに出会ったのだが)、御兄上がご存命中にブログで語られていた「実体験に基づく食道がん情報」と「患者の希望」などをサイトを閲覧されるがん罹患者や家族が求めておられる以上、何かをとお考えになり、「食道がんサバイバー」の方のご紹介を思い付かれたとのことである。
この病気には「正確な情報」も大切だが「希望」や「勇気」が患者にとって何よりの宝物であることを傍にいた私も経験しただけに、彼の考え方と行動に深い感銘を覚えた。
同時に、私自身、RURUが他界して3年近くが過ぎ去ろうとしており、医者でない私が新しい医療情報や体験を提供できるわけもなく、もはや私のブログを続ける意味もないだろうと思っていただけにある種のヒントを与えてくれたような気もしたのだった。
それでも、少なくとも「希望」のハブにはなれるかもしれないと感じたからだ。
このブログも、今でも検索で上位にくるからか私の本業のマリン情報サイトが嫉妬するようなアクセスを示すことがあるので「Tropic of Cancer」さんがお考えになったように「光や希望」の中継地点になれればと思う。
以前にも、ブログの閉鎖を考えた時、この場を通じてkuwachannや他の方々から継続をと勧められ、闘病記や関連リンクの部分だけでも食道がん情報を求めておられる方々には多少は参考にして頂けるのではと思い維持してきたのだが、今回の「Tropic of Cancer」さんの記事を拝見して、私もあらためて考え行動に移していこうと考えている。
一つの発想が、医療キュレーションである。
最近、『キュレーション(curation)』という言葉がITの世界で聞かれ注目されるようになってきたが、キュレーションとはもともと図書館や美術館・博物館で館長や主事などが行う展示物の整理・管理業務の意味のようだ。
ネット社会の中は、私たちを溺れさせるほどのさまざまなデジタル情報に満ちているが、ITジャーナリスト佐々木俊尚氏の言葉を借りれば、インターネットの世界で言われるキュレーションはそうした溢れる情報を、
「自分の価値観や世界観に基づいて収集し選別し、新たな意味づけを与えて、それを多くの人と共有すること。劣化したマスメディアでも、無味乾燥な検索エンジンのアルゴリズムでもない。情報と人を結びつけ、そこに人と人のつながりをも生み出す新たな概念」らしい。
つまり、私たちが情報過多の中で迷子にならないように的確にスムーズに目的の場所に案内してくれる情報の”コンシェルジュ”のような役割のことで、私も、このキュレーションが今後のIT社会でより重要になっていくだろうと強く認識している。
単なる情報コンテンツの正確性だけでなく、人々のつながりの中で共鳴・共感を得られるコンテンツこそが私たちには必要で、それは検索エンジンでは未だになし得ない(恐らく永遠に不可能な)生身の人間だけの所業であるだけに、私たちが「キュレーション」を意識して情報を受発信することはとても重要なことだと思っている。
情報検索の次に用意されるべき適切なキュレーションの連携が、医療の世界にも当然あるべきで、実現していくにはケン三郎先生のような既に実践しておられるプロフェッショナルの方々にご協力頂くことも欠かせないだろう。
PS:
食道がんサバイバーの方々で、ご自身のホームページやブログをお持ちの方も、そうでない方も是非ご紹介させて頂きたいと思いますので、いつでもお気軽にメッセージをお寄せください。yuzo@bww.jp
食道がんに関する新聞記事
コメント
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45くらいで現役食道外科医を引退してあとは、
平日はサーフィン、ゴルフ、
海外旅行とのんびりしながら、
土日にネットで食道癌のコンシェルジェ業を
やる予定です。そのときはいろいろと教えてくださいね。
ケン三郎
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このサイトで雄三さんに取り上げて頂いて誠に恐縮しています。運良く生かされて頂いているだけなのにプレゼントをもらったような気分です。
このページが常にアップデートされ、きちんとキュレートしたポータルになればとても価値があると思います。今日「食道癌のブログ」で検索して出て来たサイト(http://www.sth3.com/syokudogan/tobyo/)は、このサイトと同じ意図でつくられたものと思いますが、紹介されたブログの殆どのリンクが消え、また結局は亡くなってしまわれた方のブログが多いことにびっくりしました。今癌との闘病のまっただ中の方にはとても残念なことでしょう。
考えてみれば、この雄三さんのサイトでも、ミュウさんを含め沢山の訃報に接しました。
食道癌は私の中では「過去」のもので、かなり風化しています。だから「いまさら」という気持ちがないわけではありません。でも、自分の食道癌が発見された時「ある日突然癌だった」(今はもうリンクがありません)というサイトのオーナーに術後の食事のことなどをメールで伺ったことを覚えています。彼女のブログの明るいトーンがとても救いでした。そして本人からメールが来たことがとても嬉しかったのを覚えています。また「のどの下の胃ぶくろ」は何度も読み返し、室川さんのサイトにはただただ感心しました。自分の露知らぬところでお役にたてるのかもしれません。
もしかしたら、ブログという形態もなくなってしまうかもしれませんね。でも、しばらくは生き恥をさらさせて頂くことにします。